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き方法です。
また、けがをした部位より心臓に近いところで脈がふれる部位を止血点といいますが、その部分を骨にむかってしっかりと圧迫する間接的圧迫法というのがあります。
上肢からの出血の時は、脇の下に親指を入れ、残りの四本の指を肩の上におき、脇の下をはさみ込むように圧迫します。
下肢からの出血には、手のひらを股のつけ根にあてて体重をかけて圧迫します。
顔面からの出血の時は、親指を耳の前一〜二センチのところにあてて骨に向かって強く圧迫し、他の指は頭が動かないように頭部を支えます。
間接的圧迫法は側副血行があるため完全に止血することはできませんが、出血量をかなり減らすことはできます。
これらの手当を行っても止血できず、また出血量を減少させることができない場合は、止血帯をかけるという方法があります。
止血帯は上肢のけがに対しては上腕に巻き、下肢のけがに対しては大腿部に巻くもので、決して膝より先、肘から先の部分に巻いてはいけません。
方法としては、まず、幅の広い布を傷口に少なくとも二回巻きつけてから一回結びます。
幅広の布がなければ、マフラーや風呂敷を折って使います。
次に結び日に長さ二〇センチほどで太さ二〜三センチのしっかりした棒をあて、その上からさらに二回結び、布に縛り付けた棒を止血するまで時計方向へまわし、出血が止まったらまわすのをやめ、棒が緩まないように体に縛り付けます。
この方法は締め木法といわれるもので、締め過ぎると組織が壊死を起こしたり、また、締め方が足りないと止血効果が不十分だったりしますので、どうしても他の方法で止血できないときの方法です。
また傷が砂や泥などで汚れている場合は、水道水をどんどんかけて汚れを落とします。
傷の消毒には色のついた消毒液より無色透明のものがよいでしよう。
そして、手当が済んだからと放置しないで、なるべく早く医師の治療を受けなければなりません。
たとえ傷が小さくても創傷感染の危険があり、また傷の中に異物が残っていることもあるからです。

 

 

 

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